カルテモストーリー -3- カルテモの歩み ~Part 1~

7月より、「カルテモストーリー」と題してカルテモの誕生秘話や今後の展望などを、代表取締役の内藤にインタビューしております。
お客様にカルテモはどんな会社なのかを知っていただく機会になれば幸いです。
第3回目は、「カルテモの歩み ~Part 1~」です。
カルテモ創業から10年目くらいまでの道のりを、振り返ってもらいます。
もしかしたら、内藤自身も忘れかけていたストーリーが掘り起こされるかもしれません。
それでは早速、よろしくお願いします。

勝間田(以下「勝」):創業から10年目くらいまでで、印象にのこっている出来事やエピソードなどがあれば、教えてください。

内藤(以下「内」):
印象に残る出来事といえばいくつかありますが、ひとつといえばやはり震災(東日本大震災)ですかね。
その時、私は大崎駅前の空中陸橋にいて、耐震システムで大きなビルがゆっくり動くシーンを見てとても不思議な気持ちになったことを覚えています。事務所にも自宅にも誰にも電話がつながらず、電車も動かず、タクシーもすごい列。途方に暮れる中、五反田で働く友人の実家が日本橋だということを思い出して五反田まで歩いていくと、ビルの前の横断歩道でばったり会って、彼と日本橋まで歩きました。
彼の家で電話をお借りし、事務所や自宅などに電話をかけている間も、テレビで映し出す悲惨なシーンにただ驚くばかりでした。
その後、友人と居酒屋で食事し戻ってくると、東西線が行徳まで動いているとのこと。友人もお母様も泊っていくよう言っていただきましたが、やはり事務所が心配でしたのでひとまず葛西まで戻りました。
ちなみに、行動を共にしたその友人こそ、その後カルテモに入社した財務担当取締役の堤啓輔です。

勝:創業当初からの10年で、大きく変わったことはなんですか?カルテモのことでも、翻訳業界のことでも構いません。

内:
業界的にはTradosの普及じゃないですかね。
私がカルテモを創業した2003年にはすでにTradosは日本にありましたし、前職で見たことがありました。でもまだCD-ROMで販売され、ドングル(PCに差し込むもの)でライセンス認証する形式だったと思います。そこからの普及ぶりは目を見張るものがありました。
創業当時は、Trados否定派の方も多く、「Tradosを使った翻訳はよくない」「Trados使っていたら翻訳はうまくならない」といった主張を声高に言う方もいらっしゃいましたが、あっという間にそういう声も聞かなくなりましたね。

勝:創業から10年の間で、一番困ったことはなんでしたか?

内:
円高ですね。
カルテモは売り上げの多くをドル建てで取引しています。
為替の大きな変動にはかなりナーバスなのですが、2011年の「1ドル=75円30銭」の時は本当に頭を抱えました。
通常の売上減は同様に原価も下がるわけですが、円高は売上も原価も変わらず、利益だけがフワッとどこかに消えてなくなってしまうわけです。これは相当つらかったです。
経理上、為替損益を営業外損益ということが腹に落ちたのはこの時でした(笑)

勝:反対に、良かったこと、嬉しかったことはありましたか?

内:
多くの人と出会えたことですね。
社員、ベンダーさん、お客様、同業の方、異業種の方とか、たぶんサラリーマンだったら出会えなかったであろう方々との出会いは私の財産ですね。
たとえば創業当時、ある信用金庫の方に「手形を割るという行為は、手形を型に借金をするようなことですが、決済日がきて、入金が確認されてカルテモさんはひとつ信用が上がるということなんですよ」と教えてもらった時は、「ああ、社会勉強ってこういうものだな」と思いました。
池波正太郎の剣客商売の中で「借金っていうのは返すことによって、借金する前より信用が上がる」というようなセリフがあって、まぁ、頭では理解していたんだけど、わが身で実感することの大切さを学んだような気がしますね。

勝:最後に、創業から10年で叶った目標などがあれば教えてください。

内:
叶った目標といえるものは正直ないですね。
ただ、会社を継続できたというのは成果かもしれない。目標としては低いかもしれないけど。
起業の理由をよく聞かれたけど、理由なんていっぱいあってたぶん話しきれない。
だから大きな理由の一つとして「死ぬときに後悔したくないから」と言うことがあります。
そういう意味で「もし今死んでも起業に関しては後悔しないな」という自信が持てたのがこのころ(10年)だったと思いますね。
いろいろあって、やっと会社がぼんやりと形になり始めた時期だったと思いますね。

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話は尽きないようですが、今回はこれでインタビュー記事を終了しようと思います。
これからも、世の中に「カルテモ」という名前が広く浸透するように、「翻訳と言えばカルテモだ!」とお客様に思っていただけるよう、スタッフ一同日々の業務を行ってまいります。
今後ともカルテモをよろしくお願い申し上げます。


株式会社カルテモ
広報担当
勝間田